“ニッチ”という言葉、ご存じですか?
一般的には「隙間」という意味でよく使われますが、実はインテリアを考える際に知っておきたい、住まいにまつわる用語でもあります。
記事目次
- 飾り棚や壁収納として使える“ニッチ”とは?
- ニッチの使い方は?飾り棚として使う?壁収納にする?
- 飾り棚や壁収納として、ニッチをおしゃれに使うコツは?
“ニッチ”とは?壁の空間を利用して設ける棚のこと
木造住宅の壁は、間柱という柱を等間隔に立て、そこに石膏ボードなどを取り付け、クロスを張るなどの仕上げがなされているものが一般的となります。
壁の中の間柱と間柱の間には空間ができますが、この空間を利用して設ける壁面のつくり付けの棚のことを“ニッチ”と呼びます。
ニッチは、小物などを飾る飾り棚としてだけでなく、収納スペースとしても活用できるスペースです。
※ニッチができない場所。
ニッチは、壁の空間の厚みを利用して設けるため、ニッチをつくることができない壁もあります。
例えば、断熱材が入っている外に面する壁やコンクリートに石膏ボードが直接張られているような壁には、ニッチを設けるための空間がなく、壁の中に間柱がある壁の場合でも、柱の部分にはニッチをつくることはできません。
つくりたい場所につくれるとは限らないので、建築段階ではしっかりと専門家の意見を聞き、相談するのがオススメです
ニッチのサイズは大中小とさまざまです。
ニッチというイメージから、小さな収納スペースを想像する人も少なくないと思いますが、そのサイズは小さいものばかりではりません。
ニッチの奥行きは壁の厚さにもよります。
一般的な在来工法の場合、壁の厚さは13cm程度ですので、石膏ボードの厚みなどを差し引くと、ニッチの奥行きは10cm未満になります。
収納スペースとして活用したい場合などは、設計の早い段階から計画をすれば、壁を厚くして、奥行きのあるニッチをつくることも可能となります。
ニッチを利用した本棚を作成
本のサイズに合わせて奥行きを確保し、ぴったり収納するサイズにニッチをつくることも可能
横幅は柱と柱の間隔まで広く取ることができるので、例えば幅90cmほどのニッチというものも工法によっては可能です。
高さは足元から天井までの高さをニッチとして活用できます
ポイント)DIYも可能だが注意する点
使いたい場所にDIYでニッチをつくる方法もありますが、前述したように、ニッチをつくることのできない壁もあるので注意が必要です。
また、ニッチをつくることができる壁の場合でも、下地を確認し、柱にあたる部分に穴をあけてしまわないよう、慎重に作業を進めなければなりません。
DIYに慣れている人であれば、自分でニッチをつくることも不可能ではないかもしれませんが、壁に穴をあけてつくるものなので、万が一失敗した場合、DIY初心者には上手く挽回するのが難しいと思います。
ニッチの使い方はどのようにしますか?飾り棚?壁収納にする?
さまざまな場所に施工することが可能
ニッチは、キッチン、リビング、洗面、玄関など、さまざまな場所に設けることが可能です。そのため、つくり付ける場所や使う人によって、その用途も実に多様です。
「家づくりをする際に、お気に入りの小物や季節のアイテムなど、ちょっとしたものを飾るスペースが欲しいと感じている人はたくさんいらっしゃいます。ニッチは比較的手軽につくることができるので、飾るスペースとしてニッチをつくる人も多いですね」
飾るスペースとして活用する以外にも、実用的な収納スペースとしてニッチを活用したいという人もいます。
「ほかの収納と違い、ニッチを利用した収納は壁から出っ張らないのが魅力です。ニッチを上手に設ければ、片づけやすく邪魔にならない収納がつくれます」
家具のレイアウトなども考慮して、しっかり収納のプランニングを立てた上で、ニッチの位置やサイズを計画すると、ニッチを収納スペースとして有効に使うことができるそうです。
ニッチを飾り棚や壁収納としてオシャレにするコツは?
壁紙や照明などでアクセント!
空間を有効活用でき、収納としても装飾スペースとしても活用できるニッチですが、せっかくつくるのであれば、おしゃれに使いたいものです。例えば、ニッチ部分の壁の仕上げに、アクセントになるような壁紙やタイルなどを張られているものもありますが、ほかの壁とは異なる仕上げにすることで、ニッチ自体をインテリアのアクセントにすることができます。
「アクセントになるような壁紙やタイルを張ると、ニッチ自体が飾りの役割を持つので、たくさんのものを置かなくても、お部屋のアクセントになります。
また、ニッチに照明を取り付けたい場合、縦長のニッチにはスポットライトタイプ、横長のニッチにはバータイプの照明がオススメです。凹凸感のある素材は照明を当てることで表情が出るので、石やタイルなどを張ったニッチには、ぜひ照明を取り入れてみてはいかがでしょうか」
収納として活用するニッチについては、さり気なくしていた方がいいため、照明まで取り付ける必要はないですが、ニッチは目に入りやすい、目立つ位置につくることが多いので、収納スペースとして使う場合でも、少し見える背景部分にきれいな壁紙が張られていたりすると、見せる収納として使いやすくなるそうです。
カラーを統一するとすっきりとしたデザインに
ニッチを収納として使う場合は、収納ケースなども活用しながら、色に統一感を持たせると、すっきり上手く活用することができます。
一般的なオープンタイプの収納の場合と同じく、ニッチの場合も収納ケースやかごなどに入れて収納すると、見た目が整うのはもちろん、分類しやすく、取り出しやすくもなるので使い勝手がいいと思います。また、色が多いと、それだけで雑然とした印象になるので、色みをそろえて色数を抑えると、すっきりとした印象になります
色を減らし、整った印象のニッチ収納
色の数を減らし、そろえるとすっきりとした印象に
小物を飾る場合は置き方にも工夫を
飾るスペースとしてニッチを活用する場合、小物の配置の仕方などで、よりおしゃれに見せることができます。
素敵に見える飾り方のルールというのがいくつかあります。まず、縦に空間が並ぶニッチの場合は、物を置かない空間を左右に点在させることで、バランスよく見せることができます」
縦に空間が並ぶニッチ
段ごとの余白の位置が交互になるよう意識し、飾るもののボリュームゾーンをばらつかせるのがポイント。また、各段に飾る小物はそれぞれ三角形になるように配置すると◎
「小さなニッチを複数並べてつくるのもオススメです。ニッチをつくる空間(壁)の大きさや形に合うように、小さなサイズのニッチを複数並べて、同じような色やサイズの小物を飾ると、1つだけニッチをつくって飾るよりもボリューム感がアップして華やかになります。
“3”はバランスがよく見える魔法の数なので、スペースがある場合は3つ並べるのがオススメですが、スペースがない場合や、飾りたいものの数によっては2つ並べてもOKです」
横に3つ並んだ小さなニッチ
小さなニッチを並べてつくる場合、横長の大きな壁なら横に3つ、縦長の狭い壁なら縦に3つ並べると好バランス。さりげない小物でも、リピートして飾ることでおしゃれ度がアップする
「大きめのニッチの場合は、三角形を意識して配置するとバランスよく見えます」
三角形に小物などを配置したニッチ
三角形を意識して飾るとおしゃれに
飾るもののテーマを決める
素敵なニッチにするには、小物をどう配置するかも大事ですがテーマを持って飾ることが大切だと思います。クリスマスやハロウィンなど、季節感を表現する飾りはテーマを意識しやすいので、ぜひトライしてみてください。日常的にお気に入りの小物などを飾る場合は、テーマを決め、色やテイストをそろえて、飾るものを厳選して飾ると、素敵に飾ることができると思います
リビングのインテリアに合わせて小物が置かれたニッチ
何を飾るにしても、部屋のテイストと合っているかどうかが大事
サイズも使い方もさまざまなニッチ。紹介した使い方のコツも参考に、ニッチでお部屋をすっきり、自分らしく使ってみてください。
まとめ
- ニッチとは壁の厚みを利用して設ける棚
- さまざまな場所に設置可能で、アイデア次第で飾り棚にも、便利な収納スペースにもなる
- DIYも可能だが、避けた方がいい壁もあるので、注意が必要